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糖尿病診療に特化した「スペシャル内科」にするために

医療法人健清会 那珂記念クリニック 院長 遅野井 健先生

【略歴】
1980年 3月 弘前大学医学部卒
1984年 3月 弘前大学大学院 修了
1984年   弘前大学第Ⅲ内科(現、代謝内分泌内科)入局
1985年 4月 水戸協同病院 内科医長
1998年 7月 那珂クリニック院長
1999年 9月 医療法人健清会理事長
2003年10月 那珂記念クリニック院長
2014年   日本糖尿病協会 茨城県支部 会長
同年    公益社団法人 日本糖尿病協会 理事
【専門】
内科(特に糖尿病、動脈硬化症を中心とした生活習慣病)
【学会活動】
日本糖尿病学会/専門医・指導医
日本病態栄養学会/評議員
日本糖尿病協会 理事
日本糖尿病協会 茨城県支部会長
那珂医師会理事

― 長年のご経験から、情報の一元化を実現できる電子カルテとチーム医療 の確立が重要だと考えられた理由を教えてください。


糖尿病などの内科的疾患は、数十年に渡るような長期間のフォローアップが必要であるものが多く、そういった慢性疾患は、その疾患に特化した「スペシャル内科」で長期管理をしていくことが望ましいと考えます。

当院は糖尿病診療に特化した診療の仕組みを構築しています。糖尿病専門クリニック向け電子カルテ 「DMエキスパート」は、糖尿病診療の特殊性である「チーム医療」と「長期治療」をシステムとして支える電子カルテであり、当院の診療においてもなくてはならない存在です。
約40年近く前から糖尿病診療に携わり、その経験から、診察の際に「今何をする必要があるのか」「症状・投薬・検査等の頻度はどのくらいか」「いつから始まっているのか」「今後はどうする予定か」といった、過去・現在・未来の情報を一覧で把握することの重要性を実感しています。

また、医師が医師にしかできないことに専念するために、看護師が看護師にしかできないことに専念するために、といった「そのライセンスを持つ人にしかできない業務」に集中するためには、チーム医療の確立が必須と考えていました。

那珂記念クリニックを新設するときに、クリニックのレイアウトや、患者さんをどう流していくのかを検討するにあたって考えたのは、情報の一元管理とチーム医療の実践です。これらを確立させ、診療の質と量を向上させるための人の配置や運用を実現させるために、開発監修したのがこのDMエキスパートです。

― 学生時代に情報科学を学ばれていたご経験とアークレイに対する『糖尿病領域に強いメーカー』で あるという印象は、新クリニックの構想やその後にどのように影響しましたか?


アークレイとの出会いは、まだ私が大学に所属していたころ、当時 京都第一科学だったアークレイが開発した世界初のグリコヘモグロビン自動分画測定装置(AUTO A1c/HA-8110)でした。
縁があったのか、数年後にアークレイの本社で講演をする機会があり、即時検査の重要性を説いた覚えがあります。その後に開発された「ADAMS LINE」は、当時はまだ実施していることの少なかった院内即時検査、即時報告という診療への要望を満たすもので、糖尿病診療を大きく変えてくれました。そういった経緯から、アークレイは糖尿病検査に強いメーカーであるという印象を持っていました。またそれだけではなくいち早くデジタル化の傾向をつかみ、血糖管理のためのシステム(SMBGViewerやe-SMBGなど)開発を行うユニークな企業だとも感じていました。

新クリニックの構想を進めるにあたり、理想の糖尿病診療を叶えるためには、電子カルテを活用したシステム化が必須でした。私は元々情報科学を学んでおり、ソフトウェアに関する基礎知識があったため、このシステム化は一から組み上げないと既存の電子カルテでは難しいことが見えていました。
プロトタイプを考案し、新クリニックにて運用を行っていましたが、ブラッシュアップが必要だと考えていたところにアークレイから糖尿病診療専用の電子カルテの監修依頼があり、新クリニックの構想実現と、アークレイが持つ糖尿病診療に関連するインフラなどを組み合わせることでマーケットにもポジティブな影響を与えることができると考え、監修を引き受けることにしました。

― 『テンプレート』を問診で活用し、スキルに関係なく均質に情報を得る仕組みはなぜ重要なのでしょうか?


当院では、患者さんは来院したらまず問診を受けます。問診は診察までの間にコ・メディカルが行いますが、看護師だけでなく、管理栄養士・検査技師さらにはクラークなど、さまざまな職種のスタッフが区別なく実施しています。
予診・問診は診療を進めるにあたり非常に重要で、ある程度の知識やコミュニケーションスキルが必要とされており、実施するスタッフによって情報の質にバラつきが出てしまうのは好ましくありません。

その課題を解決してくれるのがDMエキスパートの「問診テンプレート」機能です。テンプレートを使用することで、スキル不足を補い、誰が実施しても漏れなく均質な情報を得ることができるのです。「誰が実施しても均質な情報が取得できる」という仕組みは、チーム医療において重要な意味を持っています。
例えば、クラークの方が手伝うことのできる業務が増えると、看護師や検査技師は自分しかできない業務に専念できるようになります。さらに医師は医師にしかできない業務に集中することができ、診療の質が向上します。こうした仕組みを使うことで診療に関わる全員が少しずつスキルを持ち寄る環境ができ、チーム医療を育んでくれるようになるのです。現在では、問診テンプレートが無ければ診療が成り立たないほどです。

― 診察前に『テンプレート』で情報収集をすることで、医師は「方向づけとジャッジ」に専念できるのですね。


こうして得られた問診の情報や診察前検査の結果などはすべて患者カルテ画面に集約され、診察前に確認することができます。
糖尿病などの慢性疾患の診療で医師が行うべきことは「方向づけとジャッジ」だと考えています。診察前の問診により、事前に情報を集めておくことができ、患者さんを診察室に招き入れる前にこれまでの経緯と現在の状況が把握することができます。医師は収集された情報の分析と判断に集中できるのです。事前に収集された情報を元に冷静にジャッジをした上で必要なことを患者さんに確認し伝えるのと、診察室で患者さんから情報を収集しながら一から考えるのとでは診療の質が大きく変わってくると考えています。この部分にも問診テンプレートによる診察前問診が生きてくるのです。

「長期治療」に重要な診療経過の把握のために、 MMIX(複合医療情報参照チャート)の画面はどのように活用されていますか?


糖尿病診療は治療して完了するものではなく、「長期治療」という特殊性を持っています。糖尿病では検査データ一つをとっても前回値との比較ももちろん必要ですが、年単位での生活リズムと周期があることを理解しておく必要があるのです。
おととし、去年と比べてどうなのか、どういった傾向があるのかが一目で把握でき、判断できることが生活習慣病を診る上で必須条件であり、DMエキスパートでは「MMIX(複合医療情報参照チャート)」で対応しています。MMIX画面では過去の投薬履歴や検査データなどを表示することができます。
例えば、HbA1c値は、年内変動があることは一般的に知られています。これを診療に反映し1年前のデータの傾向から「去年は、年末にかけてHbA1cの上昇傾向がみられました。今年も同様の傾向にならない様に注意しましょう。」などと具体的なアドバイスを実施することができるのです。

― 定期オーダという機能は、どういった機能でしょうか?


糖尿病専門クリニック用電子カルテとして、もうひとつ特長的な機能が「定期オーダ画面」です。糖尿病診療における検査は、受診ごとに実施するものもあれば、3ヶ月、半年、1年に1回の検査など様々な頻度で実施されるものが存在します。定期オーダ画面では、実施頻度や期間がさまざまな検査を一覧で編集・管理が可能で、オーダ漏れや過剰な検査の回避に繋がっています。長期間の診療計画を把握するためには無くてはならないエンドレスなパス機能です。

― どのような医療機関にDMエキスパートは最適でしょうか?


DMエキスパートは、糖尿病診療をシステムとして支える電子カルテです。既に糖尿病診療や患者さんの療養指導に力を入れている医療機関では、診療体制を強力にサポートできると考えています。ある一定数以上の外来患者を抱える医療機関では飛躍的に診療を効率化できる可能性があります。
一方で施設の規模に限らず、これから糖尿病診療に力を入れていきたいが、現状は指導の時間を十分に取れないなどの悩みを抱える施設においても効果は十分に期待できます。療養指導というと、経験豊富なスタッフが時間を十分にとってツールを使用して、など構えて考えてしまうことはないでしょうか。しかし例えば問診中に患者さんの生活を一緒に振り返り、うまくいかなかったと患者さんが感じたことに対して一言アドバイスをすることも立派な指導です。このようにDMエキスパートでは、問診と一緒に自然と患者さんへの指導を実施することが可能なのです。診療の質、スタッフの質の向上を目指している先生には最適な電子カルテであると考えています。

― さいごにDMエキスパートは「チーム医療」にどのように貢献できますか?


「チーム医療」と聞いて、実現させるにはハードルが高いという印象を持つ方も多いのではないでしょうか。
そのように感じる方はチーム医療を「スキルのあるメンバーが集まり、チーム内で業務を割り振り、分担すること」と捉えているのかもしれません。

私の考えるチーム医療は、「各々が前向きに自分のスキルを持ち寄り、組み立てていくこと」です。一人一人が患者さんに対してできることを自ら考えて持ち寄る。一人一人が持つスキルがたとえ小さくても、ゼロよりはずっとすばらしく、それらを持ち寄って一人の患者さんに対して真摯に向き合っていくことこそが真の「チーム医療」なのではないでしょうか。DMエキスパートはこのような「チーム医療」を育み、長期的な糖尿病診療を強力にサポートできるシステムであると確信しています。